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日本中医薬研究会

イスクラ産業株式会社


花粉症
くすり天龍堂 鈴木康弘 先生

 花粉症キャリアにとって嫌な季節がやってきました。くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ・せきと、本来なら麗らかな春が嫌いになります。実は私も花粉症です。二十代前半の不摂生がたたり約20年付き合っています。みなさんもよくご存知の鼻炎薬は、服用しても多少症状が残り、「効いているんだけど…」という違和感が残りますね。私も発症当時は時々服用していましたからよくわかります。

 私の場合にはとてものどが渇くので会話中、睡眠中に喉が痛くなったり、鼻粘膜も乾燥して息を吸い込むと鼻の奥がヒリヒリしたり、少量の鼻血を出すこともありました。このような不快が辛くなり、私は漢方薬へ切り替えました。恥ずかしいのですが、私の実体験を交えながら漢方薬の効かせ方を書いてみたいと思います。

 漢方薬の世界では、鼻水ズルズルタイプを「鼻(びきゅう)」といい、鼻汁を「鼻淵(びえん)」、鼻づまりを「鼻塞」といいます。一般的に多いのがやはり「鼻」。では、なぜこんなに鼻水があふれてくるのでしょう。

 簡単にいえば体内の水分が過多となってあふれだした状態です。健康体ならば飲食によって摂取された水分は、一部は有益な体液となり、その他は要らない水分として排泄されます。不要となった水分は小便と汗でしか外へ出られませんが、私のように排泄が上手くいかなくなると花粉症の方は鼻から出てきます(その他にあふれると喘息・アトピー性皮膚炎となる)。

 私の場合にはもともと胃腸が弱く、飲食物が停滞しやすい性質でした(脾は生痰の源たり)。発症前は何とかその不要な水をさばいていたようですが、とうとう鼻に溢れだしたという訳です。不要な水がたまる場所が肺なので(肺は貯痰の器たり)、そこにつながる鼻へ不要な水があふれだします(肺気は鼻へ通ず)。

 原因として、(1)胃腸が弱く飲食物がさばけないため水分が滞る(2)消化器が手に余ると痰となって肺へ溜まる。この場合のように初期ならば小青龍湯の出番です。しかし、皆さんも経験済みでしょうが、慢性の場合は小青龍湯すぐ効かなくなりますね。肺の水(痰)をいくらかき出しても不要な水の源である胃腸がそれ以上に肺へ供給します。

 漢方専門店では(1)の胃腸に元気を与え、汗ではなく、小便で排出できるように専門の漢方薬を入れていきます。その上で表面症状である鼻水や鼻づまり、目のかゆみの原因となる風邪(ふうじゃ)を対処する専門の漢方薬を加えます。 このように不要な水がどこでどれほど滞っているかによって漢方薬は変わってきますし、その方の体質によってさらに補佐となる薬が必要であれば、それに対応する専門の漢方薬を付け加えるのです。

 私の場合はかなり長く鼻を放置しておいたので、身体にとって必要な水まで奪われた状態にありました。そのため陰分(有益な水を増やす力)を補いながら、不要な水をさばく参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)や清心蓮子飲(せいしんれんしいん)を服用しました。付け加えて表面症状として日中は鼻、夜は鼻淵・鼻塞と一日の中でも変化があった為、どちらにも対応する葛根湯を合わせて服用しました。

 その後、30代になると過労の為か生命を支える「腎」が弱くなり、金匱腎気丸をいれるとより効き目がはっきりしました(腎は一身の水液をつかさどる)。もう一度書きますが、体内の水の流れには「肺・脾・腎」が関与するため、どこに滞りがあるのかによって加える漢方薬が変わってきます。花粉症の漢方薬は「小青龍湯・荊芥連翹湯・麻黄附子細辛湯」だけではないのです。

 アレルギーの場合、慢性病であり体質の偏りが原因なのですから、その体質を支えてこそ本当の効き目が現れます。春が来ると花粉に反応する私ですが、以前よりとても快適に花の季節を過ごしています。「春だけだから・・・」と軽視せず、今年から根本的な体質改善を目指してみませんか。

【次回は、川口漢方薬局の川口雅士先生が担当します】




 多くの方がご存じの通り、今年6月に改正された薬事法改正によって第1類・第2類に属する大衆薬の通信販売が大幅に規制されました。ここには漢方薬も含まれており、これまで郵送等で当研究会会員店をご利用になってきたお客様にも、今後ご不便をおかけする可能性が高くなっております。

 その改正から5ヶ月ほど経過した11月2日、静岡新聞の朝刊第1面で「郵送の漢方利用者困惑」と見出しのついた記事が掲載されました。「体調や交通手段等の都合で直接来店できない方々、対応してきた薬局は非常に困惑しており、見直しを求める声が強い」という主旨の内容でしたが、この中で当研究会会員2名がコメントを寄せていますので、遅ればせながらここで紹介いたします。

・・・・・・・〈以下引用〉・・・・・・・

 顧客の3割が郵送利用者という山田漢方堂(浜松市)の山田晃久代表は「症状に応じて薬の処方も変わる。これまで、対面販売でなくても電話で症状を詳しく聞いて対応してきて全く問題なかったのに」と憤る。
 同店は最初の処方は対面を原則とし、顧客情報をノートで細かく管理している。「ネット販売と漢方の郵送販売とでは顧客との接し方が違う。通信販売をひとくくりに規制した改正法には疑問を感じる」と、制度見直しの必要性を強調する。
 「法改正で困惑する漢方利用者は確かに多い。しかし、ネットで簡単に大衆薬が手に入っていた状況は改善する」と話すのは日本中医薬研究会の川口雅士常任理事(静岡市)。「リスクの高い薬の対面販売を徹底する法改正によって『薬は専門家に相談してから服用するもの』という意識が広まるのでは」と、冷静に動向を見守っている。



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