■2010年2月〜掲載

花粉症
くすり天龍堂 鈴木康弘 先生

 花粉症キャリアにとって嫌な季節がやってきました。くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ・せきと、本来なら麗らかな春が嫌いになります。実は私も花粉症です。二十代前半の不摂生がたたり約20年付き合っています。みなさんもよくご存知の鼻炎薬は、服用しても多少症状が残り、「効いているんだけど…」という違和感が残りますね。私も発症当時は時々服用していましたからよくわかります。

 私の場合にはとてものどが渇くので会話中、睡眠中に喉が痛くなったり、鼻粘膜も乾燥して息を吸い込むと鼻の奥がヒリヒリしたり、少量の鼻血を出すこともありました。このような不快が辛くなり、私は漢方薬へ切り替えました。恥ずかしいのですが、私の実体験を交えながら漢方薬の効かせ方を書いてみたいと思います。

 漢方薬の世界では、鼻水ズルズルタイプを「鼻(びきゅう)」といい、鼻汁を「鼻淵(びえん)」、鼻づまりを「鼻塞」といいます。一般的に多いのがやはり「鼻」。では、なぜこんなに鼻水があふれてくるのでしょう。

 簡単にいえば体内の水分が過多となってあふれだした状態です。健康体ならば飲食によって摂取された水分は、一部は有益な体液となり、その他は要らない水分として排泄されます。不要となった水分は小便と汗でしか外へ出られませんが、私のように排泄が上手くいかなくなると花粉症の方は鼻から出てきます(その他にあふれると喘息・アトピー性皮膚炎となる)。

 私の場合にはもともと胃腸が弱く、飲食物が停滞しやすい性質でした(脾は生痰の源たり)。発症前は何とかその不要な水をさばいていたようですが、とうとう鼻に溢れだしたという訳です。不要な水がたまる場所が肺なので(肺は貯痰の器たり)、そこにつながる鼻へ不要な水があふれだします(肺気は鼻へ通ず)。

 原因として、(1)胃腸が弱く飲食物がさばけないため水分が滞る(2)消化器が手に余ると痰となって肺へ溜まる。この場合のように初期ならば小青龍湯の出番です。しかし、皆さんも経験済みでしょうが、慢性の場合は小青龍湯すぐ効かなくなりますね。肺の水(痰)をいくらかき出しても不要な水の源である胃腸がそれ以上に肺へ供給します。

 漢方専門店では(1)の胃腸に元気を与え、汗ではなく、小便で排出できるように専門の漢方薬を入れていきます。その上で表面症状である鼻水や鼻づまり、目のかゆみの原因となる風邪(ふうじゃ)を対処する専門の漢方薬を加えます。 このように不要な水がどこでどれほど滞っているかによって漢方薬は変わってきますし、その方の体質によってさらに補佐となる薬が必要であれば、それに対応する専門の漢方薬を付け加えるのです。

 私の場合はかなり長く鼻を放置しておいたので、身体にとって必要な水まで奪われた状態にありました。そのため陰分(有益な水を増やす力)を補いながら、不要な水をさばく参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)や清心蓮子飲(せいしんれんしいん)を服用しました。付け加えて表面症状として日中は鼻、夜は鼻淵・鼻塞と一日の中でも変化があった為、どちらにも対応する葛根湯を合わせて服用しました。

 その後、30代になると過労の為か生命を支える「腎」が弱くなり、金匱腎気丸をいれるとより効き目がはっきりしました(腎は一身の水液をつかさどる)。もう一度書きますが、体内の水の流れには「肺・脾・腎」が関与するため、どこに滞りがあるのかによって加える漢方薬が変わってきます。花粉症の漢方薬は「小青龍湯・荊芥連翹湯・麻黄附子細辛湯」だけではないのです。

 アレルギーの場合、慢性病であり体質の偏りが原因なのですから、その体質を支えてこそ本当の効き目が現れます。春が来ると花粉に反応する私ですが、以前よりとても快適に花の季節を過ごしています。「春だけだから・・・」と軽視せず、今年から根本的な体質改善を目指してみませんか。

■2010年1月〜掲載

インフルエンザ来襲
富士漢方薬局 平野欽也 先生

 新型インフルエンザが猛威を振るっています。ワクチンが足りない、抗インフルエンザ薬のタミフルやリレンザの手配がつかないなど、関係省庁や現場の医療機関や薬局でもその対応に追われています。医師や看護師にはワクチンの手配が出来ても、患者さんに薬の飲み方を説明し、医師や看護師と同じように感染患者さんと濃密に接する機会の多い薬剤師にはワクチンがいきわたらないなど現場は少なからず混乱しています。

 同じように老人や子ども達への新型インフルエンザの感染を心配される親御さん達にとっても心配の種は尽きないでしょう。大人や老人は免疫が出来ているから大丈夫だが、子どもには免疫料が無いから心配だと心配が心配を呼んで、一分の家庭では、漢方薬に活路を見出そうと漢方薬の備蓄に走る家庭も少なくありません。そんな折、「新型インフルエンザに漢方薬の麻黄湯が効く」という報道が全国紙に載り、それを見たドラッグストアーなどがいっせいに麻黄湯の宣伝をしたところ市場からは麻黄湯がなくなってしまうという珍現象が起こっているそうです。これでは数年前に起こった「小柴胡湯による副作用」の再来になりかねないと危惧されます。

 漢方薬・小柴胡湯による「副作用」とは、慢性肝炎の患者にその病態とは全く無関係な小柴胡湯を医療機関が、肝臓の検査数値が良くないからといって小柴胡湯を与え、返って検査数値が悪化し、マスコミは漢方薬による「副作用」として大々的に報道したものでした。このたびの報道でも、「新型インフルに麻黄湯が聞く」と報道されたのでは、発表された医師の真意が伝わらず読者との間に落差が生じてしまいます。

 麻黄湯はそれが歴史に記録されてから、数千年の間、歴史に埋もれてしまうことも無く、風や寒さによってからだが犯され、うなじがこわばり、脈は浮いて悪寒し、頭痛、発熱、からだや腰がうずき節々が痛んで風に当たらないのにぞくぞくと悪風し、汗はかかず、喘息するものに麻黄湯が適応するというのです。そのようなインフルエンザの病態の瞬間を選んで運用すれば、麻黄湯が効く場合もあると読んだほうが良いでしょう。決してインフルの予防薬にはならないのです。悪寒も無く、汗はかきやすく体力の不足しているヒトにはむしろ逆効果になりかねません。風寒の邪にやられた時に効果を発揮するのが麻黄湯です。

 しかし、新型インフルの特徴は肺,気管支、咽にウイルスが最も繁殖しやすいと言われています。その結果、重症化すれば肺炎となり、肺は出血と浸出液が充満し,呼吸が出来なくなり、溺れたような状態になるというのです。肺胞が出血と浸出液で犯されないためには、そのような肺の熱毒や湿熱に犯されない日常の準備が必要です。

 主治医はあなた自身です。「未病を治す」という言葉があります。肺が熱毒に犯されない薬草、よく知られたじゅうやくなどの仲間、清熱解毒の薬が役立ちます。ポピュラ?なものではバンランチャが有名です。悪性肺炎サーズが流行した時には中国の国中でこれを煎じて大衆に振る舞い効果を発揮しました。咽が赤く腫れて痛み高熱が出たときには熱毒を解毒する天津感冒片や五味消毒飲やスベリヒユ、白花蛇舌草などをあわせて一刻も早く肺にこもった熱毒を解毒するのです。病と闘い肺がからからとなって体力が衰えた時には麦味参顆粒で体力を回復します。麦味参顆粒は生脈散とも呼ばれ中国では各科で点滴薬として用いられ治療効果を上げています。

■2009年12月〜掲載

●手足の冷えに評判の甘いシロップの漢方薬

 冬の寒さが深まると共に、手足の冷えを訴える女性が非常に多くなります。これは、寒さによって末端の血管が収縮することで、血流が十分でなくなることが原因です。

 血液が全身に巡り、温かさや栄養、酸素を組織に運んでくれるからこそ、様々な器官は正しく働いてくれます。しかし、血管の収縮で長い間組織に血が届かない状態が続けば、冷えや痺れなどの症状をはじめとして、身体に様々な悪影響が及ぶのは想像に難くありません。

 こうした冷えの症状には、「補血薬(ほけつやく)」というグループに属する温性(身体を温め血行を良くする)の生薬「当帰(とうき)」が有効です。当帰は山地に自生するセリ科の多年草で、根の部分を薬用として用います。また、冷え性のほか眩暈、貧血といった症状の改善にも効果を発揮し、女性にとって非常に役立つ生薬として古くから知られてきました。

 この「当帰」を主成分とする医薬品「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」は、手足の冷えにお薦めする代表的な医薬品。甘いシロップ状の薬で、添付のサジで瓶から取ってカップに注ぎ、お湯で溶かして朝夕など一日二回服用します。

 しかし、一口に「冷え」といっても様々なタイプがあり、温性の薬を服用していっても症状に変化が見られない場合があります。今回ご紹介した「婦宝当帰膠」も全ての冷え性に効果を示す物ではありませんので、思ったほど改善が見られないようであれば、静岡中医薬研究会のお店で相談し、あなたの冷えに合う薬をチョイスしてもらいましょう。


「婦宝当帰膠」は、静岡中医薬研究会の各店舗で購入できますが、購入前に店頭でご自身の体調に合っているかどうかをお尋ね下さい。漢方薬をよりよい形で皆さまに紹介するのが、静岡中医薬研究会です。


■2009年10月〜掲載

 皆さんは、風邪に罹ったらどうしますか?お医者さんで点滴を打ってもらったり、ビタミン剤やドリンクを服用する、とにかく早く寝るなど、人によって対処の仕方はいろいろですが、風邪をはじめとしたウイルスが悪さをする疾患には漢方薬を使う方法もあるのです。

 さて、風邪と一口に言っても様々なタイプがあります。熱っぽくなる風邪、寒気を覚える風邪、お腹の調子を崩す風邪。季節やそれぞれの体質によってどのタイプに罹りやすいかは異なりますが、近年多く見られるのは身体が熱っぽくなるとともにのどの痛みを伴うタイプの風邪です。漢方薬には、この種の風邪をはじめとしたそれぞれのタイプに対して、撃退を得意とする薬があります。

 例えば、背中がゾクっとする寒気が中心の風邪には「葛根湯」を用います。同様に、今回取り上げる「のど痛を伴う熱っぽい風邪」には、「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」をお勧めしています。

 ウイルスや細菌退治に効く「金銀花(キンギンカ=スイカズラの花)」「連翹(レンギョウ=レンギョウの果実)」、発熱によるケイレン止めに「羚羊角(レイヨウカク=カモシカの角)」、発汗を促しクールダウンさせる「薄荷(ハッカ=ハッカの葉)」、のどの炎症には「桔梗(キキョウ=キキョウの根」「牛蒡子(ゴボウシ=ゴボウの種)」、排尿を促し熱を排出させる「竹葉(チクヨウ=竹の葉)」。これらの生薬で構成される漢方の風邪薬「天津感冒片」が、熱症状中心のカゼにはもってこいです。

 ポイントは、カゼになりかけの時点で早めに服用すること。一回4錠を服用し、体が疲れてしまう行動を避け、出来るだけ早く布団に潜り込みましょう。市販の風邪薬と違って、胃腸障害がとても少ないのも特徴です。

 風邪を治すのはあなたのカラダ。それを手助けするのが、漢方の風邪薬です。早い段階での思い切った休養は大事ですよ!

「天津感冒片」は、静岡中医薬研究会の各店舗で購入できますが、購入前に店頭でご自身の体調に合っているかどうかをお尋ね下さい。漢方薬をよりよい形で皆さまに紹介するのが、静岡中医薬研究会です。


■2009年7月〜掲載

 夏の疲れに朗報です!梅雨が明ければ本格的な夏到来。高温多湿の日本の夏は、じめっとして徐々に体力を奪っていきます。日中の暑さによる自然発汗はよいのですが、汗がダラダラと止まらず疲労感が出てくることはありませんか?そんな時にもってこいの漢方薬があります。
 イスクラ産業から発売中の「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」がそれ!人参製剤の麦味参顆粒は、疲れを癒し、いち早い回復を手助けします。夏の疲れだけではなく、普段から疲労感を感じやすい方の体力維持のための服用もお薦めです。
 フリーズドライの粉末タイプで、面倒な煎じる作業も要りません。疲れを感じる時、そして疲れる前に一包。夏の強い味方です。

「麦味参顆粒」は、静岡中医薬研究会の各店舗で購入できますが、購入前に店頭でご自身の体調に合っているかどうかをお尋ね下さい。漢方薬をよりよい形で皆さまに紹介するのが、静岡中医薬研究会です。




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